青い瞳のレクイエム#00.0『イントロダクション』
ARIAの二次創作小説(続き物)です。
主人公はオリジナルキャラクターですので、その点をご留意くださいませ。
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夜のとばりに包まれて眠るネオ・ヴェネツィアに、ネオ・アドリア海の静かなさざ波の音が染み込んでいく。空には無数の星達がきらめき、そのきらめきが水面(みなも)に反射して、ネオ・アドリア海に水上の天の川をつくっているようにも見られた。
海からネオ・ヴェネツィアへと目を移せば、街は眠ったようにしんと静かで、街灯以外の光といえば、なにやら夜更かししている部屋の窓から漏れる明かりと、ネオ・ヴェネツィアの上空にあり、『アクア』と呼ばれるようになったこの水の惑星・火星の気候を管理する『浮き島』の常夜灯ぐらいだろう。
火星はテラフォーミングを受け、現在のような水の惑星になっていた。アクア表面の九割強は水が占め、ネオ・ヴェネツィアは残った一割弱という地表の一部にアクア移民者達が造った街の一つであり、それはマンホームという別称で呼ばれるようになった地球のヴェネツィアをモデルにされていた。
ネオ・ヴェネツィアがかたちに成り始めた頃は今ほどの賑わいはなかったが、この街にはマンホームとアクアをつなぐ宇宙港があり、アクアの玄関でもあったことから、水没前のかつてのヴェネツィアがそうであったように、現在のような観光客が集まるアクアの代表的な観光都市として成長を果たしているのである。
そして……
――ウンディーネ――
ネオ・ヴェネツィアでこの名を知らない者は、もはや存在しないだろう。このネオ・ヴェネツィアだけではなくアクアに興味を抱く者であれば、一度は耳にする職業の名前である。
各社のアイデンティティを出すように、鮮やかな色彩で紋様を施された純白の装束に身を包んだ水上の妖精。旅行者たちのネオ・ヴェネツィア観光を、より幸せなひと時にするための水先案内人。彼女たちの操るゴンドラは、日々、このネオ・ヴェネツィアで運行され、そしてネオ・ヴェネツィアを訪れた旅行者たちの心に忘れられないすてきな思い出を織り込んでいるに違いない。
そしてここでも、素敵な思い出と新たな未来を織る準備が整いつつあるようだ。
すてきなウンディーネになることを夢見て、日々練習に励む一人の少女。その少女を教え導きながら、日々の生活を笑顔で彩るたった一人の先輩ウンディーネ。それに社長の威厳がそのおなかに表れた一匹の猫。この二人と一匹で運営される小さな水先案内会社。そして優しい水のきらめきに包まれたネオ・ヴェネツィアがこの物語の舞台。修行に励むそのウンディーネの少女が、今までにない不思議な出来事を体験をするところから、この物語の幕は上がる。
その不思議な出来事を解決しようと派遣された二人の青年男女を物語の中心に、それを取り巻くネオ・ヴェネツィアの仲間達。それぞれに様々な想いを心に描きながら、物語はどう進んでいくのだろうか。それはまだ誰も知らない。
そう、この物語の幕はまだ上がったばかりなのだから……
≫≫#01.1『プロローグ・夜の訪問者』
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